ベトナムIT産業の成長
1. 高付加価値バリューチェーンへのシフト
近年、ベトナムのIT産業は着実な成長を続けています。これまでの「低コストのオフショア開発(ITアウトソーシング)」を中心とした位置づけから、東南アジアにおける多様な技術・人材・サービスが集積するデジタルエコシステムへと発展しています。こうした変化は、国内におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)需要の拡大と、グローバルIT企業による投資・ソフトウェア開発協力の進展を背景に加速しています。
現在、ベトナムのデジタル技術企業は、既存の要求仕様に基づく開発作業だけでなく、要件定義・業務分析、システムアーキテクチャ設計、開発、テスト、クラウド環境の構築・運用、セキュリティ、保守まで、システム開発のライフサイクル全体を支援するケースが増えています。これにより、ベトナムIT産業は国際市場における対応領域を広げ、競争力を高めています。

2. データで見るベトナムIT産業の成長(2024年統計)
ベトナムのIT市場の成長は、ベトナム情報通信省(MIC)および国際的な評価機関が公表した統計・評価からも確認できます。主な指標は以下のとおりです。
| 指標 | 統計値 | 読み取れるポイント |
| ICT産業の従事者数 | 約126万人 | IT産業を支える人材基盤の大きさ |
| デジタル技術企業数 | 73,788社 | 多様な企業が形成するデジタルエコシステム |
| 業界総売上高 | 約1,580億米ドル | デジタル経済の規模と成長基盤 |
| GDPへの貢献度 | 14.4% | 国家経済におけるIT・デジタル産業の重要性 |
| 海外売上実績のある企業数 | 1,900社 | 海外市場への対応実績 |
| 海外市場からの売上高 | 約115億米ドル | グローバル市場でのソフトウェア・ITサービス提供実績 |
| ITアウトソーシング魅力度 | 世界第7位 | カーニー(Kearney)GSLI 2023における評価 |
3.FDIによる後押しと国内IT企業の成長
豊富な人材基盤に加え、ベトナムIT産業の成長を支えているのが、海外直接投資(FDI)の流入です。ベトナムには、サムスン(Samsung)やマイクロソフト(Microsoft)をはじめとするグローバル企業が進出しており、研究開発や技術・業務運用に関する知見の蓄積が進んでいます。こうした投資は、国際的な運用基準への対応や、現地エンジニアのプロジェクトマネジメント能力の向上にもつながっています。
同時に、ベトナム国内のIT企業も事業領域を拡大しています。ViettelやFPTなどの企業は、日本、米国、欧州を含む海外市場で事業を展開しており、ベトナム企業がグローバル市場に対応する機会が広がっています。
4.多様化するデジタルビジネスエコシステム
ITインフラの発展に伴い、ベトナムではさまざまなデジタルビジネスが成長しています。各分野のサービスや技術が相互に補完することで、デジタルバリューチェーンの形成が進んでいます。
- EC: オンライン購買の拡大に伴い、倉庫管理や物流システムのデジタル化・高度化が進んでいます。
- フィンテック: モバイル決済、デジタルバンキング、オンライン決済サービスなどの利用が拡大しています。
- ロジスティクス&モビリティ: ルート最適化やリアルタイムデータ処理などを活用した運行・配送業務の効率化が進んでいます。
- スマートヘルスケア&オンライン教育: クラウドやデータ活用を通じて、患者情報の管理や個別化された学習環境の整備が進んでいます。

5.新たなデジタル時代に向けた競争力向上
ベトナムのIT産業は、「低コストの労働力」を中心とした従来型のオフショア開発から、より幅広い技術・サービスを提供する方向へと変化しています。現在は、以下のような段階的な発展が進んでいます。

この変化は、ベトナムのIT企業に求められる役割が、単なる開発業務から、AI、クラウド、ビッグデータ、IoTなどの先進技術を活用した課題解決へと広がっていることを示しています。
こうした市場環境の変化は、日本企業にとってもベトナムのIT企業との協業機会が広がっていることを意味します。Smile Softwareは、日本企業とベトナムの開発チームをつなぐITパートナーとして、要件整理から開発・運用まで、プロジェクトの状況に応じた支援を提供しています。
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