分散データを可視化し、意思決定を支えるBIダッシュボード構築
ある企業では、売上、営業、在庫、会計などに関する情報が複数のシステムやExcelファイルに分散しており、必要な数字を確認するたびに手作業で集計する負荷が発生していました。報告資料の作成に時間がかかるだけでなく、部門ごとに参照する数値や更新タイミングがずれることで、判断のスピードと精度に影響が出やすい状況でした。
SMILEは、複数のデータソース整理からKPI設計、集計基盤の構築、BIダッシュボードの設計・開発までを担当し、管理目的に応じたダッシュボードを構築しました。本案件は、実運用を見据えたBIダッシュボード構築の開発事例としてご紹介します。
- 対象テーマ: BI / Analytics / Dashboard
- 課題: データ分散、Excel集計の手間、レポート作成の属人化
- SMILE対応範囲: データソース分析、KPI / data model設計、ETL、API、ダッシュボード、フィルター、権限制御
- 技術構成: React、ECharts、Python FastAPI、PostgreSQL、AWS
- 期間: 3か月
- 体制: 4名 / 10MM
- 想定スケール: 3つのデータソース、15KPI、管理用ダッシュボード1面
- 期待できる価値: レポート作成負荷の軽減、データの透明性向上、意思決定の迅速化
お客様の課題
お客様は、業務に必要なデータを複数のシステムやExcelで管理していたため、経営や現場の状況を把握する際に毎回集計作業が必要でした。担当者ごとに集計方法が異なると、同じテーマを見ていても数値の意味や対象期間がそろわず、確認や調整に時間がかかります。
また、レポートが手作業中心になると、更新頻度が下がり、必要なタイミングで最新の状況を確認しにくくなります。特に、売上、営業、在庫、会計など複数部門にまたがる指標は、一覧で見られないこと自体が判断の遅れにつながります。
そのため、単にグラフを増やすのではなく、分散データを整理し、管理に必要な指標を同じ基準で見られる仕組みが求められていました。
プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は、複数のデータソースに分かれた情報を整理し、必要なKPIを一元的に把握できるダッシュボード環境を整えることでした。
あわせて、手作業によるレポート作成の負荷を減らし、部門ごとに異なっていた見方や集計基準をそろえることで、より速く判断しやすい情報基盤をつくることを目指しました。
SMILEの対応範囲
SMILEは、対象となるデータソースの確認、KPI設計、data model整理、ETLジョブの構築、API実装、ダッシュボード画面の開発、フィルター設計、権限制御の実装までを担当しました。
単なる画面作成にとどまらず、どの数値を何の目的で見るのかを整理しながら、管理層や各部門が使いやすい形へ情報を再構成しています。
開発・改善のポイント
今回の取り組みで重要だったのは、見た目のよいダッシュボードを作ることではなく、分散したデータを管理に使える形へ整えることでした。元データの形式や更新タイミングが異なるまま可視化しても、現場では活用しにくくなります。
そこでSMILEは、まず各データソースの性質を整理し、どの指標を共通基準で管理すべきかを明確にしました。そのうえで、KPIごとの定義、必要な集計単位、閲覧対象、フィルター条件を設計し、業務で見たい情報へ短時間でたどり着ける構成を整えています。
また、ダッシュボードは一部の担当者だけでなく、役割の異なる利用者が使うことを想定し、権限に応じて見える情報を分けることも重視しました。これにより、経営判断に必要な全体像と、現場が見るべき詳細情報の両方を扱いやすくしています。
使用技術
フロントエンド
React と ECharts を用いて、KPIの一覧表示、グラフ描画、期間指定、条件絞り込みに対応しやすいWebダッシュボードを構築しました。
バックエンド
Python FastAPI により、ダッシュボード向けAPIとデータ連携処理を実装し、複数ソースの集計結果を参照しやすい形で提供しました。
データベース
PostgreSQL を採用し、KPI参照に必要なデータ構造を整理しながら、集計しやすい形でデータを保持できるようにしました。
クラウド
AWS を前提に、ダッシュボード、API、定期集計を運用しやすい構成を想定しました。
その他
ETL / ELT、Excel import、scheduled aggregation を組み合わせ、既存の運用データを活かしながら可視化へつなげる構成としました。
技術的に難しかった点と対応
本件で難しかったのは、複数のデータソースにまたがる情報を、そのまま見せるのではなく、同じ意味で比較できる指標へ整理することでした。元データの形式や粒度が異なる場合、見た目は似た数値でも、集計条件がずれると判断を誤る可能性があります。
また、ダッシュボードは利用者によって見たい情報が異なるため、経営層向けの全体指標と、部門担当者向けの詳細指標をどう分けるかも重要な論点でした。情報量を増やしすぎると使いにくくなり、逆に絞りすぎると実務で不足します。
SMILEでは、対象データとKPI定義を先に整理し、必要な集計単位と利用者視点を明確にしたうえで、フィルターや権限の設計を進めました。これにより、単なるグラフ集ではなく、管理判断に使えるダッシュボード構成を目指しています。
導入効果
本プロジェクトでは、複数のファイルやシステムを行き来しながら報告を作る負荷を減らし、必要な指標を一つの画面で確認しやすい状態を整えました。データの自動集約と可視化により、分散していた情報をまとめて把握しやすくなり、レポート作成の手間軽減と判断スピードの向上が期待できます。
また、KPI定義と表示基準を整理したことで、数値の解釈が担当者ごとにぶれにくくなり、部門横断で同じ前提で会話しやすくなる点も大きな価値です。
オフショア開発体制のポイント
BIダッシュボード案件では、画面実装だけでなく、指標定義、データ構造の理解、利用者ごとの閲覧要件整理が重要になります。SMILEでは、日本側とベトナム側が連携しながら、何を見せるべきか、どの粒度で集計するべきかをすり合わせ、設計と実装を進めています。
BrSEを介した要件整理、日越間の進捗共有、レビュー、テスト観点の調整を行うことで、複数部門の要件が混在しやすいダッシュボード案件でも認識差を抑えながら進めやすくしています。
まとめ
BIダッシュボードの価値は、グラフを並べることではなく、分散したデータを管理判断に使える形へ整理することにあります。本事例では、SMILEがデータソースの確認からKPI設計、ETL、API、ダッシュボード構築、権限制御までを一貫して担当し、意思決定を支える情報基盤づくりを進めました。
複数部門のデータがばらばらに管理されており、レポート作成や状況把握に時間がかかっている企業にとって、こうしたBI基盤の整備は有効な選択肢の一つです。
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